読書日記「ぐるりのこと」 自分が特別じゃないと戒めること

 梨木香歩のエッセイだ。ちょっと今は梨木香歩の世界にはまっています。
 自分の日々のことを書きながら、そこから伸ばした思索の羽をつづり、自分の日常にと戻っていくそういうことを繰り返し書き連ねているエッセイだ。
 「ぐるりのこと」とは自分の身の回りのことであるが、そこには他者と自分の境界、他の文化、他の国、他の宗教と自分の国、自分の文化、自分の宗教(思想)の境界について思い巡っている。
 他者への理解、共感の大切さを書きながらも、そうはいっても自分の中にある偏狭さへの言及も忘れない。さまざまなおかしさを語りながらも、自分の中にもそういう考えがあることを認め、特別ではない自分、それを抱え、反省し、戒め、右往左往しながら生きることも述べている。
 私がなるほどと思ったのは、西郷隆盛のこと。映画ラストサムライを見た話から、そのモデルといわれる西郷隆盛に触れ、西郷の評価と、そこから描かれる西郷の人物像に対する部分なりの評価、そして、愛国心、集団や組織に対するアイディンティティへと展開していく流れが秀逸だった。
 教育基本法改正の自民党案が発表されてから、さまざまな議論が一部のメディアで語られている。国や郷土を愛すること、そこから続く地平はなんなのかを、考える一助になるかもしれない。
 彼女は自分の中にも国や郷土を愛する心はあると語っている。もちろん私に中にもある。
 ただ、それが組織に対する愛でも、忠誠心でも、アイディンティティでもないということなのだ。
ぐるりのこと

この記事へのコメント

2006年04月25日 00:04
さっそく読まなければ、と、書店に立ち寄ったのですが、残念ながら置いてありませんでした。どんな人にもあると思いますが、改めて文章にするには勇気がいると思います。自分は今、自宅療養中の身。さまざまなことを考えますが、こんな時ほど、文章に残しておくべきかもしれません。

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