映画日記「雪に願うこと」 これぞ日本映画という感じ

 第十八回東京国際映画祭で史上初の四冠獲得した「雪に願うこと」。佐藤浩市もいいが、私は小泉今日子のわけあり女性がよかったっす

 もとは農耕馬だったという輓馬(ばんば)たちが数百キロ以上もあるソリを曳きながら障害を越える、北海道の開拓精神が生んだレース“ばんえい競馬”を舞台に。そんな馬たちに、つまずきながらも明日を見つめて生きていこうと奮闘するひとりの青年と家族の姿を重ね合わせた、ストーリー。

東京での仕事に失敗し、経営していた貿易会社を倒産させてしまった矢崎学(伊勢谷友介)が、故郷の帯広に戻るところから話が始まる。行き着いた先はばんえい競馬場。ばんえい競馬ですっからかんになった学は、兄・威夫(佐藤浩市)のもとに転がり込む。“ばんえい競馬”の厩舎を細々と運営する兄のもとで暮らしはじめた学が寝起きをともにするのは、小学校時の同級生などを中心にする個性的でちょっとひねた、それでいながら地に足をついて生きている厩舎の仲間。それから、わけありの賄婦田中晴子(小泉今日子)や失踪した父の跡を継いだ女性騎手首藤牧恵(吹石一恵)などが物語に厚みを加える。

 小学校の同級生で矢崎厩舎で馬を愛しながら働く加藤テツヲが雪ダマを屋根に載せて、神様への目印にする「ここにお願いをする人がいるよ」って。このシーンは胸に迫る。彼の純朴さ、人や動物を疑いなく愛する姿勢がいとおしい。
 また、冬の早朝、朝日に浮かび上がる馬から立ち上る湯気の荘厳なこと。この映画のもうひとつの主役が輓馬たちであることが分る。

 30年前だったら佐藤浩市の役は高倉健が、小泉今日子の役は倍上千恵子だなって思える、そういう物語だ。なんと言うか、小学校の講堂で見た日本映画を思い出す、描かれ続ける日本のなかの家族のありよう、生きることの意味を問いかけるような、これぞ日本映画という感じだ。

ただし、少子化の日本、これからこういう兄弟を描くことも、感情移入も難しくなるんだろうなぁ・・・
輓馬

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