読書日記「チャイルド44」 原発はソ連と同じだと知る・・

2009年のこのミステリーがすごい海外編で1位になったのかな。

1933年、ソビエト連邦ウクライナのチェルヴォイ村で、兄パーヴェルと弟アンドレイは、猫を捕まえようと森の中に入るが、パーヴェルは行方不明になってしまった。その二十年後、幼児が行方不明になる事件が発生した。レオの部下フョードルの息子アルカージーも殺害される。スターリン支配下の当時は「ソビエト連邦には犯罪は存在しない」という建前になっていたので、当局は捜査に対して全く熱意が無い。国家保安省の捜査官レオ・デミドフは未解決の幼児誘拐事件を捜査していた。スパイの疑いを掛けられていた獣医アナトリー・ブロツキーを逮捕した。ところが、レオの部下ワシーリー・ニキーチンがブロツキーを匿っていた農夫ミハイル・ジノヴィエフとその妻を殺害、それに激昂したレオはワシーリーに銃を向けて殴り、その事を後に上司のクズミンに問い詰められる。  その後、レオの妻ライーサがスパイであるという疑いを掛けられる。上司のクズミン少佐の謀略によってウラル山脈の東側に在るヴォウアルスクという村に左遷される。そこで、少年少女を対象とした惨殺事件が連発する。レオはそれまでの組織の意向に沿った勤務態度を改め、本気で事件解決を目指し始めたのだった。

いやぁ、レーニン体制化のソ連のすごいこと。
社会の不行跡である犯罪は貧困と欠乏がなくなれば消滅する、それは人民が義務として知っておくべきこと。しかし、今はまだその過程なので、窃盗や暴力行為、犯罪組織もあるが、それでも人々はよい方向に向かっていると信じなければいけない。そして、子供を殺すような事件が起こっては、よい段階に向かって前進している社会が大きく逆戻りしてしまう。だから、それはなかったことになる。

小説の面白さ(犯人探しの楽しみよりも、レオの逃亡劇の方に重きが置かれている)はもちろんのこと、何か理不尽なことを、夢オチとか宇宙人とか、そういうもののせいにしないで話を進めるのであれば、その仕掛けは「ソ連」とかしかないのかもしれない。他の国とか宗教団体にすると、それはそれで外交問題になるしね。
理不尽さは、家族でも近所の友達でも誰も信じられないということ。人間は、全員が敵かもしれない状況でどうやって生きていくのか、その難しさがよく描いている。

ところで、この本を今更選んだのは、地震と原発の現実から逃げるためかもしれない。ずっと、原発関係の本や資料ばかり読んでいたのでね。その状況から、「チャイルド44」を読んで分かった。
原発はソ連なのだ。

原発は常に「安全」だということを強調してきた。そのため、原発に反対している人や原発は必要だけれど、いろいろ心配している人が、ここは大丈夫か、とか、こういう対策はしたのか、とか言ったりする。しかし、原発を進めたい人は、その意見を取り入れると原発が安全であるということが崩れるから、そういうことはしない。

安全であるから、安全を確保する対策はしない
ソ連は犯罪がない理想的な社会に向かっているから、子ども殺しのような凶悪な犯罪はないから、犯罪は起こってない

似てない?

これでは冷静な対応ができない。

高村薫が原発を政争の具にしてしまったので、技術的情報は出ずに、反対か賛成かのイデオロギー対決になってしまったという指摘をしていた。

私も技術的なこと、放射性物質の情報などをきちんと知りたいと思う。

しかしSPEED1の情報は、市民団体が3月から政府が出さないことに対して抗議をしてきていたが、やっと出る。出さなかった理由が「パニックになるから」とは。それは、情報の出した方やメディアの伝え方の問題だと思う。きちんとした情報を出していれば、人々は冷静に対応したと思う。
そのくらいの民度の高さはもっていると思うけれど、違う?



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